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民間軍事会社Part2(南アフリカとPMC)

民間軍事会社Part2(南アフリカとPMC)

前回の記事ではアフリカにおける対立の構造と傭兵について書きました。今回は、南アフリカの方に目を移していきます。南アフリカは現代版の民間軍事会社発祥の地とも言え、その起源はやはりアパルトヘイト時代にあります。アパルトヘイト時代の南アフリカにはSouth African Defence Force(SADF)と言う国軍がありました。この軍には有名なSouth African 32 Battalion(南アフリカ国防軍第32大隊)という部隊があったのですが、これが映画ブラッド・ダイアモンドでレオナルド・デ・カプリオが扮するダニエル・アーチャーが所属していた部隊です。

この32 Battalionはアンゴラにおける紛争で最も恐れられていた部隊で最強と呼ばれていた伝説的な部隊です。この部隊を率いていたのがJan Breytenbachという軍人です。元は南アフリカ特殊部隊の司令官として当初わずか12人の精鋭部隊として発足し、その後32 Battalionを作り最強の部隊にしました。

32 BattalionについてはJan自身がノンフィクションのBaffalo Soldiersという本を書いていて、ミステリアスな事実の一部を記しており、歴史的価値の高い本とされています。
http://www.amazon.com/Buffalo-Soldiers-Jan-Breytenbach/dp/191985407X/ref=sr_1_1/002-0410643-3145618?ie=UTF8&s=books&qid=1178382190&sr=8-1

さて、アフリカにおける紛争は米ソの冷戦終結と共に減ってくる事になるのですが、南アフリカのアパルトヘイト終結もあり南アフリカの軍隊も縮小が明らかになってきました。こうなると南アフリカの軍事活動のみでは生きていけないであろう事が予測されます。他のアフリカ諸国を見るとまだ紛争は続いており軍隊の需要自体はありました。

これに目を付けた南アフリカの軍人がいます。Eeben Barlowと言う人です。彼はかつてのエリート組織である南アフリカ国防軍第32大隊の副指揮官で、Executive Outcomesという会社を1989年に設立します。これがPrivate Military Contractor(PMC:民間軍事会社)と一般に呼ばれる会社で現代版の傭兵会社の起源だそうです。Executive Outcomes社には最盛期には500人の軍事アドバイザーと3000人の特殊部隊員が所属していたそうで、政府側の軍隊の一部としてアドバイザリー的な仕事や調査、パイロットや落下傘部隊の提供から派兵に至るまで軍事活動全てにおけるサービスを提供しました。

この組織今までと何が違うかというとその組織力の高さです。傭兵なんて昔からいるのですが通常は落ちぶれた軍人が生活に困ってお金のために戦場に赴く状態です。そんな兵士を集めて戦場にただ送ってもお金目当てですから使い物になりません。実際、傭兵を集めても飲んだくれてるだけで戦闘能力の向上にはつながらないのが普通です。

その点、Executive Outcomes社は南アフリカ国軍のエリート部隊をそのまま民間に移したような状態で、戦術も個人の戦闘能力も共に高いレベルを組織として維持できていました。その他のアフリカ諸国の反乱軍とは兵士の訓練も戦術も武器に関する知識も桁違いです。戦闘機のパイロットだっていますし、ヘリコプターの扱いから整備、ミサイル発射、戦術の立て方、ロジスティクスの構想なんでもござれです。シエラレオネには大虐殺を展開していたRUFがいましたが、子どもに機関銃を持たせただけの兵士など比べ物にならないぐらいプロフェッショナルな戦闘集団の会社です。

もはや政府と関係が無いExecutive Outcomes社は政府の思惑に関係なくどこにでも行けます。特に1993年のアンゴラにおける政府と反乱軍の紛争に対する介入は有名だそうで、当時アンゴラ政府は反乱軍の攻撃に壊滅的なダメージを受けていて、首都陥落の危機に直面していました。ここでExecutive Outcomes社はアンゴラ政府と契約をし、ほとんど壊滅的だったアンゴラ政府軍を訓練するだけでなく前線の指揮まで行う事で立て直し、反乱軍と和平協定にまでこぎつけました。このアンゴラの政府と反乱軍の和平協定の中にはExecutive Outcomes社がアンゴラから出て行く事が反乱軍の方から調停条件として付けられたそうで、Executive Outcomes社がいかに有能であったかを示す逸話となっています。

また、同じ頃シエラレオネでは反政府のRUF(統一革命戦線)が首都に迫っており政府は壊滅的なダメージを受けていました。アンゴラで活動していたExecutive Outcomes社は同社の社員(戦闘員)を自社の飛行機でアンゴラからシエラレオネに直接運び配置しました。

元々RUFは素人のゲリラ組織ですのでExecutive Outcomes社にとっては敵ではないような状況だったようで、3ヶ月もかからずにRUFは撃退されてしまったそうです。その後、コノ・ダイアモンド採掘場(ここ映画ブラッド・ダイアモンドで巨大なピンクダイアモンドが発見され隠されていた場所です)も奪回し、政府と反乱軍RUFの調停に結び付けました。

Executive Outcomes社とシエラレオネの契約はわずか3500万ドル(約40億円)だったそうで、これはシエラレオネの年間の軍事予算の三分の一だそうです。わずかこれだけの額で今まで戦火が絶えなかった国に対して安定がもたらされ、100万もの難民が家に帰ることができ大成功だったと言えます。

ところが、やはりExecutive Outcomes社は民間の軍事会社であり武器を持って他国に行くのは武器禁輸に違反すると言う事で、国連がExecutive Outcomes社のこれ以上の介入に反対したため同社は撤退しました。同社は撤退した場合クーデターが起こる事を予言しましたが政府は国連に従いExecutive Outcomes社との契約を切りました。

結果はクーデターが起こり政府は転覆、RUFが再び戻ってくるような状況になりました。その後、シエラレオネ政府はサンドライン社(イギリスのPMCでExecutive Outcomes社と関係が深い会社です)を雇いクーデター勢力を駆逐する事に成功しましたが大きな混乱を招いた事になりました。

Executive Outcomes社はシエラレオネやアンゴラでの紛争で活動するのみならず、民間の企業とも契約を結んで活動をしていました。民間にそんな会社があるかって?あります。誰でしょうか?やはりお金持ちで命を狙われるような仕事をしている人々ですよね。逆に言うと紛争が多い国々であっても仕事をすると大きな富につながるような仕事をしている人たちです。

そうです、デビアス社などが大きなクライアントと言われています。デビアス社はあまり公にはこれを認めていませんが、普通に考えて何らかの軍事組織のサポートがないとあんな紛争の多い場所でダイアモンドの採掘は出来ないでしょう。ダイアモンド鉱山なんて戦争を引き起こすぐらい価値の高いものですからデビアス社がどんなに自分の所有権を主張しようが軍事的な後ろ盾が無ければ簡単に追い出されますよね。ダイアモンドのみならず石油のシェブロン、テキサコなども民間軍事会社のスポンサーと言われています。理由はダイアモンドと同じで、軍事的裏づけが無いとビジネスが成り立たないためです。

さて、次回は現代のPMCについて書きたいと思います。Executive Outcomes社の後の時代と言えます。





コメント
この記事へのコメント
とても興味深く読ませてもらっています。
次が楽しみです。
2007/05/23 (水) 23:32:05 | URL | ブレンディ #mQop/nM.[ 編集]
こんばんは
ブレンディさん

こんばんは。
自分で言うのも変ですがなかなか面白いでしょう?
書いてて面白かったですから、読まれてる方にも面白いと思ってもらえるといいなと思います。
2007/05/24 (木) 00:11:31 | URL | FXZAR #-[ 編集]
こんにちは。

いつもながら、読み応えのある内容ですね。続きがとても気になります。
為替情報ならず、近代史まで勉強になるとは、恐れ入ります。

もっとも、単なる過去の出来事ではなく、資源国では現在進行形なんですね。
ニュースの見方が変わります。
2007/05/24 (木) 14:19:05 | URL | 初心者 #-[ 編集]
こんにちは
初心者さん

こんにちは。もう”こんばんは”の時間か・・・
続きはまた来週(予定)です。
次回でこのシリーズおしまいですが、続き物って意外といーかなー。
書いている方としてはちょっと楽な気もするようなしないような・・・
2007/05/24 (木) 19:49:56 | URL | FXZAR #-[ 編集]
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